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東大土木・社会基盤同窓会

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会長挨拶

御挨拶

会長 羽藤 英二

会長 羽藤 英二

同窓会長として最初の務めは、北陸支部のイベントに同行し、金沢のまちを歩くことでした。そこで感じたのは、金沢という都市の魅力そのものもさることながら、その都市を支え、受け継ぎ、現代にふさわしいかたちで生かし続けている同窓生の活躍の大きさでした。会長としてこれほど心強く、また嬉しい経験はありませんでした。

今回の見学では、犀川から引かれ、金沢美術工芸大学の傍を抜けて、沈砂池で浄化されたのち兼六園の曲水へと流れ込む辰巳用水をはじめ、兼六園、金沢城、武家町、尾山神社、図書館、美大など、金沢の文化と都市空間がどのようにつながっているかを辿りました。石川県の木村康博部長(平9)の説明で、兼六園は単独の庭園として存在しているのではなく、今も県が丁寧な管理を続けている辰巳用水や街路を介して、城、武家地、寺社、近代以降の文化施設へと連続し、金沢という都市全体の文化的骨格を形づくってきたことがよく分かりました。

印象的だったのは、それらが単なる「保存」の対象ではなく、現代の都市生活の中でなお生きた基盤として扱われていることです。前田藩以来の文化的蓄積は、庭園や水路、城や武家町として残るだけでなく、明治以降は尾山神社や近代建築へと読み替えられ、戦後は大学や公共文化施設へと用途を変えながら受け継がれてきました。権力空間であった城が、軍用地、大学、そして文化公共空間へと転じていく過程もまた、都市の資産を時代ごとに引き受け直してきた金沢らしい歩みだったように思います。

そして、その営みを今日支えているのが、行政、鉄道、道路、建築、都市計画など、それぞれの立場で活躍する東大土木・社会基盤の同窓生の皆さんです。辰巳用水の維持管理、歴史資料の継承、道路や施設の更新、文化施設の整備や都市空間の再編まで、仕事の対象は多岐にわたります。通底しているのは、歴史ある都市の価値を単に守るのではなく、現在の都市機能の中に埋め込み直し、次の時代へつなげていこうとする姿勢でした。行政、大学、JR西日本、NEXCO中日本、設計や計画、あるいは教育に関わる同窓生が北陸支部長の声がけに応じて一堂に会し、それぞれの立場から金沢という都市に関わっている姿を目の当たりにし、本学科の卒業生の層の厚さと実践力に深く感銘を受けました。

混沌の現代社会にあって、都市の価値は、はじめからそこに固定的に存在するものではなく、激動の中にあっても、誰かが手を入れ、使いこなし、つなぎ直していくことで保たれていくものだと思います。人口減少が進む地方では悲観的な議論も少なくありません。今回金沢で見たのは、残された都市資産を丁寧に読み解き、現代の暮らしの中で生かし直すことで、新たな価値を生み出していく同窓生のみなさんの姿でした。能登の復興や北陸のまちづくりの現場に本学の同窓生が数多く関わっていることは、大きな誇りです。同窓会としても、こうした各地での実践を結び、支え、次の世代へとつないでいく役割を果たしていきたいと、あらためて感じた北陸支部訪問でした。

2026年6月30日

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