井上 学 さん平成12年修 橋梁研究室IHIインフラスクエア代表取締役社長
インタビュアー:平林優希(地盤研M1)、篠原大我(竹内研B4)、佐々木勇凱(平30長井研、令元修河川研)、赤池あゆこ【左から】
民間企業を選んだきっかけ
今日、お会いした井上学さんは、平成12年修士卒、橋梁研究室の当時助教授であった木村吉郎先生(昭60卒、現東京理科大学教授)の教え子です。当時、大先生であった藤野陽三先生には卒業後から最近まで、共同研究や国際学会の場でお世話になったそうです。実は就活の際に研究者としてアカデミアに残るのかを迷っていたとき、相談した藤野先生から「民間の方が合ってるよ」の一言に背中を押されて、民間企業の中でも最も自由な社風を感じられたIHIを選んだそうです。
国内での設計経験から海外プロジェクトへ
入社後、しばらくは当時建設中であった新交通システム「ゆりかもめ」や第二東名の設計に携わったそうです。この時期、毎日6時~7時半まで、始業前に専門書を引っ張り出して勉強していたとか。業務と同時並行の学びは効果抜群で、この時の猛勉強がその後専門家として仕事する上での財産になりました。入社して4年後の2004年には、昨年事業再開で話題となった世界最長の橋、イタリアのメッシーナ海峡大橋の入札対応から派遣され、それ以降2022年まで、井上さんはずっと海外の長大橋のプロジェクトに関わり、トルコやルーマニア、ロシアなど世界各地の橋の建設現場で、エンジニアたちをサポートしながら一緒に働いてきました。
海外の現場で培ったコミュニケーション力
海外の現場で学んだのは、今注目されている異文化コミュニケーション。英語が実は苦手だったのですが、難しい言葉は使わず、まずは相手に興味を持つことをモットーに、世界各地の現場のエンジニアたちと協働してきました。また海外の架橋プロジェクトは日本国内と違い、プロジェクト全体を統括する仕事も業務に含まれるため、橋に関連付けられる様々な工事、技術からプロジェクトマネジメントまで学ぶ機会になったそうです。
変革期のリーダーとして
2022年に帰国して、海外での豊富な経験が評価されたのでしょう、2025年11月に2社が合併したIHIインフラシステムの社長に抜擢されました。(2026年には社名変更でIHIインフラスクエアとなる。)執行役員は全員自分よりも年上という環境ですが、世代間ギャップもこれまで海外で培った異文化コミュニケーション力を発揮して、相手の話を聴く、されど最後は自分で即断、即決のスタイルを貫いているそうです。
井上さんは自身を「変革期のリーダータイプ」と評し、社長はあくまでも「役割」の一つとして楽しく演じるつもりだそうです。この先10年の道筋を付けたら、普通の社員に戻るのも良いと。国際学会は、会社での重い責任や役割を離れ、エンジニアとして純粋に楽しめる息抜きの場所だとか。そういう場所で、東大時代にお世話になった先生や研究者と交流できることが楽しいとおっしゃっていました。
藤野陽三先生から受け継ぐもの
藤野陽三先生が亡くなって4か月経ちました。同窓会にとって最大級の求心力を失くしたと思うこの頃、井上さんにお会いして、藤野先生らしい前向きさ、朗らかさそして抜群の行動力+忘れてはならない反骨精神、そういったフジノイズムが井上さんの中に生きていることを感じました。それは同窓会を次世代に健全に繋いでゆきたい私にとって、とても嬉しいことでした。(赤池)
参加した篠原大我さんの感想
非常に柔軟な考え方をお持ちになっており、べき論に固執しないことの重要性を実感しました。立場やこれまでの方法に囚われない物の見方は、自分の人生で岐路に立ったとき、別の道を開く鍵になるのだと実感しました。
